
TOP > 仙台・コンサート情報掲示板 > バリトン近野賢一 ピアノ小熊由里子「シューベルト 冬の旅」
バリトン近野賢一 ピアノ小熊由里子「シューベルト 冬の旅」
開催日時:2013年02月17日(日) 15:00
会 場:仙台青葉荘教会(仙台市青葉区錦町)
料 金:2000円
「冬の旅」に寄せて 近野賢一
「冬の旅」はシューベルトが30歳のときに作曲した作品です。
「冬の旅」より4年ほど前に作曲された同じミュラーの詩による歌曲集「美しい水車屋の娘」は徒弟の旅立ち、恋愛の過程から失恋、そして自らの命を絶つまでを描いています。そこでは幸せの時も歌われています。それに対し「冬の旅」では第1曲目からすでに恋に破れているのです。自分を裏切った恋人を恨むでもなく、真冬に街を離れると決心し恋人の家の戸に「おやすみ」とだけ残して去る、途中にかつて幸せな時を過ごした原っぱや菩提樹のわきをとおり、つまづき、カラスにあざけられ犬に吠えられ、幻想を見、墓場にたどり着いて死に憧れても、墓さえ主人公を拒絶し、永遠のさまよいを続けなければならないのです。「美しい水車屋の娘」では死と小川の子守唄がこの連作歌曲集を結んだのに対し、小川は凍りつき、死は許されません。こんな絶望が本来美しいはずはない、しかし美しいのです。最後に出会ったのは手回しオルガンを持った老人。この人物は何者なのか。シューベルトはこれに「答え」を与えていません。演奏者の私にもわかりません。それは演奏者と聴衆が24曲にわたる旅をしたときにだけ見えてくるものなのではないでしょうか。そしてそこには正解などないと思っています。
この度東京のある演奏会の関係者の方からお声掛けいただき、時期こそ違いますがミュンヘン音大での同門である小熊さんと
「冬の旅」を演奏することになり、私にとって初めての仙台でも歌うことになりました。同じ場所で同じ空気を吸った歌曲を心から愛する者同士の共演を楽しみに、お客様が帰路においても余韻の消えない演奏会になることを祈っております。
(一部抜粋)
※チラシ画像をクリックすると拡大します。
※ダウンロードボタンをクリックすると、チラシ裏面をご覧いただけます。