パスカル・ヴェロが届ける天国的な美しさ

 

　今回の定期演奏会では､ヴェロのセレクトによる､19世紀フランスで生まれた2つの傑作を紹介します｡前半のデュカスの交響曲ハ長調は､演奏機会のたいへん稀な作品｡3楽章構成というスタイル､近代フランスのエスプリが効いた伸びやかさとエネルギーといった､独特の世界をお楽しみください｡後半のフォーレのレクイエムは､(モーツァルト､ヴェルディの作品と並ぶ)古今の傑作レクイエムのひとつ｡この珠玉の名作の特徴のひとつは､レクイエム典礼文には含まれない｢Pie Jesu(ピエ･イェズ)｣｢ln Paradisum(楽園にて)」といった慈しみに満ちたテキストが独自に採用されていることです。声楽の響きも加わって優しく美しく彩られるこのレクイエムは､心に潤いと満ち足りた喜びを与えてくれます｡ヴェロのタクトから生まれる“天国的な美しさ"がホールいっぱいに満たされることでしょう。